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イメージセンサ用電源オプションの選択

2026年3月30日

著者:onsemi

  

(出典:yallowww/stock.adobe.com 

自動運転車はどのようにして一時停止標識を認識するのでしょうか?まず、イメージセンサーが周囲の映像を撮影し、ソフトウェアが一時停止標識特有の形状や文字を識別します。この基本的な仕組みは、ビデオ会議やモバイル端末から、工場の生産ラインで製品を検査するマシンビジョンシステムに至るまで、多くのアプリケーションに共通して採用されています。 

今日、イメージセンサはあらゆる種類の専門的な用途で設計されています。これらの用途は多岐にわたりますが、ハードウェアに関しては電源面で非常に厳しいという共通の課題に直面しています。ノイズ、電圧ドリフト、シーケンス不良、熱応力は、画質を低下させ、ソフトウェアでは修正できないエラーを引き起こす可能性があります。センサの高解像度化とフレームレートの高速化が進むにつれて、電源に対する要求はより厳格になっています。 

イメージセンサは光工学と電気工学の境界に位置し、高感度で精密な電子部品で構成されています。そのため、サブシステムごとに複数の独立した電源入力を要し、それぞれに独自の電圧公差とシーケンス要件があります。本ブログでは、これらの課題を念頭に置き、イメージセンサの電圧公差やシーケンス要件を満たす電源ツリー構築のための設計上慮項 

について述べます。降圧コンバータと低ドロップアウト(LDO)リニア電圧レギュレータのトレードオフを検証し、適切なトポロジの選択が効率やコスト、センサ性能、熱管理、長期的信頼性にどのような影響を与えるかを見ていきます。 

  

センサの基本 

 イメージセンサは、レンズによって形成された画像をデジタル信号に変換します。この機能は、ビデオ会議を円滑に進めるだけでなく、自動運転車の支援、充填ライン上のケチャップ瓶すべてにキャップが装着されているかの確認といった用途にも活用されています。当然ながら、各用途ごとに要求される性能は異なり、イメージセンサはそれぞれの特定のニーズに合わせて調整する必要があります。ビデオ会議用カメラは、さまざまな背景に対して人物をはっきりと映し出す必要があり、マシンビジョン用カメラは、生産ライン上を通過する物体を素早く捉えなければなりません。メーカーは、特定の用途のニーズに合わせて、読み出し速度、ダイナミックレンジ、低照度性能を最適化した、各種センサを開発してきました。 

  

電圧制御戦略 

光をデジタルデータに変換するには、電源をはじめとするシステム全体にわたる精密さが求められます。イメージセンサは通常、ディスクリート部品で構成された電源ツリー、あるいは電源管理集積回路(PMIC)を要し、各電圧レールに適切な電力レベルで電源を供給します。通常、電源ツリーやPMICへの入力電力は高い電圧から始まり、その後、各分岐に必要な電圧まで下げられます。PMICは頻繁に採用されますが、その集積度の高さゆえに柔軟性が制限される場合があり、特定のセンサに最適な組み合わせが常に利用できるとは限りません。より一般的には、LDOまたは降圧コンバータを用いてディスクリート電源ツリーを構築することで、このダウンコンバージョンを実現することができます。これにより、設計の柔軟性が高まり、コストも抑えることができます。LDOと降圧コンバータのどちらを選択するかは、用途や、両者の特性の違い、およびトレードオフによって決まります(表1)。 

一般的に、LDOと降圧コンバータ間で選択する際の主な考慮事項に、次が挙げられます。 

  • LDOは、一般的に低コストな選択肢であり、電圧降下が小さい場合に効率良く動作します。しかし、電圧降下が大きくなるにつれて効率が低下します。効率低下は動作温度の上昇を招き、密閉型モジュールの実用性に影響を及ぼす可能性があります。 

  • 降圧コンバータは、特に大きな電圧降下や重い負荷を伴う場合に、より高い効率を発揮します。その本質的な効率の高さにより低温での動作が可能ですが、より高価で大型になる傾向があり、コンバータ本体と外部インダクタの両方でより多くのPCBスペースを要します。また、降圧コンバータはLDOよりも出力リップルが大きく、これが繊細なイメージセンサ入力に干渉する可能性があります。 

  

表1:LDOと降圧レギュレータの実用上の違い(500mV以上の降圧を想定した場合の比較)[1](出典:onsemi) 

効率性 

PCVスペース 

PSRR 

ノイズ 

チャンネルあたりIQ 

コスト 

EMI 

インダクタ 

負荷 

LDO 

低〜中 

極小 

大いに満足 

大いに満足 

低〜中 

 

 

いいえ 

数十mA~数百mA 

同期式降圧 

 

大型 

OK 

OK 

低〜中 

 

 

はい 

数百mA~数十A 

 

多くの場合、特定の制約によって除外されない限り、まずはLDOを検討するのが最善です。レギュレータオプションの実用的な選定方法は、設計における一連の問いを順に確認していくものです。 

  • 廉価版LDOで対応可能か? 電圧降下が比較的小さい場合、通常はLDOが第一候補となりますが、他にも考慮すべき点があります。 

  • LDOの温度耐久? 設計者は通常、電力損失(PD)とそれに伴うジャンクション温度を推定し、レギュレータが規定の熱制限内に収まることを確認します。予想される温度上昇がデバイスの限界値に近づく場合、効率改善や発熱低減のために、降圧コンバータなどのスイッチングレギュレータの使用が推奨されます。 

  • LDOの低効率を補うだけの十分な電力を確保できるか? コンセントを使用する装置であれば問題ありませんが、バッテリ駆動装置の場合は、降圧コンバータを使用すると動作が改善します。 

 

電源レールに関するルール 

イメージセンサは、メーカーや用途ごとに独自のアーキテクチャやピン配置を採用していますが、一般的には、少なくともデジタルI/O、画像処理、アナログ画像センシングという数種類の内部サブシステムに電力を供給する必要があります。イメージセンサの電源ツリー設計は、通常、次の電源入力ピンに基づいています。 

  • VDDIO:デジタルI/O通信インターフェイスに電源を供給 

  • VDD:内部ロジックや画像処理を担うデジタルコアに電源を供給 

  • VAA:アナログ画像センシングのピクセルアレイおよびA/Dコンバータ(ADC)に電源を供給 

メーカーによってこれらのレールの名称は異なりますが、その機能はほぼ同じです。電源ツリーを設計する際、各レールの要件と公差を正しく把握し設計に反映させるには、センサ仕様書の精査が不可欠です。さらに、運用時には、各電源レールの立ち上げおよび立ち下げを正しいシーケンスで行わなければなりません。 

実用的な電源ツリーの例 

5Vの入力レールから動作する、onsemi Hyperlux™イメージセンサの代表的な電源ツリーの構成を考えてみましょう(図1)。この設計では、一段階で一気に電圧を下げるのではなく、特定箇所での過度な電力損失を避けるために、段階的に電圧を降下させる方法を採用しています。最初の降圧がわずかである場合、その中間ノードから最も 

電圧の高いセンサ入力へ直接供給することで、デバイス総数を減らすことができます。また、熱管理と効率のバランスを考慮し、4段階の構成が適切となるケースもあります。4段階設計の場合、初段のLDOの最大定格電流は、後続する3つの入力の合計最大定格電流に等しくなります。 

各入力は、電圧や許容誤差(公差)が異なるだけでなく、さらに微細な要件があることに注意が必要です。通常、下の図に示すように、VDDのレールの電圧公差は最も小さくなります。このため、優れた過渡応答特性を持つLDOまたは降圧コンバータが求められます。一方、画像センシングピクセルアレイに電源を供給するVAAは、ノイズに最も敏感です。ノイズの多い電源入力は、最下位ビットを変動させ、画質の低下を招きます。VAAへの供給には、85dB以上の高い電源電圧変動除去比(PSRR)と10mV未満の極めて低いノイズのLDOが理想的です。基板上では、配線ノイズを軽減するために、LDOをVAA入力のボールグリッドアレイに可能な限り近づけて配置する必要があります。 

  

  

図1:この電源ツリーの例は、イメージセンサに対応する上で必要な代表的な電源特性を示しています。(出典:onsemi) 

次世代イメージセンサの進化 

onsemiは、イメージセンサの設計と実装に関する深い専門知識を活かし、Hyperlux イメージセンサ電源ツリーは、降圧コンバータ、低ノイズLDO、およびPMICの組み合わせの検証済みの組み合わせを提供し、Hyperluxイメージセンサ製品群の電源ツリー設計において、推測による試行錯誤の手間を省きます。オンセミ 電源ツリーは、5V、5V〜18V、48Vという柔軟な入力オプションを提供しており、バッテリ駆動機器から車載カメラシステムに至るまで、幅広い用途への統合を簡素化します。 

電源ツリー内の各コンポーネントは、イメージセンサの各入力における固有のニーズに対応しています。例えば、上の図1では、高速な過渡応答時間(標準1μs)、低ノイズ、高PSRRを備え、公差の厳しいVDD入力に最適なLDOであるという理由から、 

onsemi T30LMPSR16超高速リニアレギュレータが採用されています。検証済みの設計を活用すれば、新しい設計の市場投入を早めるのに役立ちます。これは、onsemi AR0544 およびAR0830 Hyperlux LP イメージセンサなどの低電力で高い画質を実現する新しいセンサを用いた設計において特に有効です。超低消費電力向けに設計されたこれらのイメージセンサは、精度の高い電力供給を最大限に活かして、その優れたスリープ機能やウェイクアップ機能を実現しています。AR0544およびAR0830は、エッジ側での高度な画像キャプチャを実現するとともに、解像度、フレームレート、帯域幅と、消費電力とのバランスを設計者が調整できるプログラム可能な動作モードを備えています。 

 

まとめ 

ビジョンシステムの構築を成功させるには、慎重に選定されたイメージセンサと、それを支える最適化された電源ツリーが不可欠です。ディスクリート部品を用いて電源ツリーを設計することで、幅広い用途において、厳しい電圧公差やノイズ制約、さらにはシーケンス要件を満たす上で最上級の柔軟性を得ることができます。LDOと降圧コンバータの使い分けは、システムの信頼性と画質を直接形作るものです。同様に、ノイズに 敏感なVAA入力から、厳格な制御が求められるVDDコアに至るまで、各レールの固有のニーズを理解することで、安定した動作を確保することができます。撮像技術が自動運転システムなどのより多くのアプリケーションへと広がり続ける中、電源アーキテクチャにおける「静かな選択」こそが、マシンがいかに鮮明に世界を認識し、その情報に基づいていかに信頼性の高い動作を実現できるかを決定づけるのです。

 

著者について

Peter Welander氏は、現在は半引退状態にあるものの、7年間雑誌「Control Engineering」のシニアエディター兼コンテンツマネージャーを務めた後、10年以上にわたりフリーランスのライター兼エディターとして活動しています。この間、主にプロセス産業における産業オートメーションをテーマとした執筆活動に深く従事してきました。また、音声・ビデオ制作、ポッドキャスト、ブログなどの制作責任者も務めてきました。 

出版界に転身する以前は、さまざまな産業機器メーカーで、セールス、マーケティング管理、エンジニアリング、オペレーションに長年携わってきました。同氏がキャリアを通じて一貫して持ち続けている強みは、技術的概念を理解し、複雑なアイデアを明快に説明する能力です。個人的な趣味は、写真、機械工作、木工、そしてパイプオルガンの製作など多岐にわたります。

出典

[1]https://www.youtube.com/watch?v=e4vnTTCoe1U