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マイクロモビリティ・ソリューションは未来をどう創造するのか

 

この4部構成ブログの最終回では、マイクロモビリティが果たすであろう役割、そして新しいテクノロジーが現れるにつれてソリューションがどのように発展していくのか今後の展望についてご紹介します。

  1. はじめに

  2. 都市インフラとマイクロモビリティ

  3. 個人的ソリューションと消費者の課題

  4. マイクロモビリティ・ソリューションは未来をどう創造するのか

 

 

最適なソリューション

 

個人的な移動に使われる現在のマイクロモビリティ製品のほとんどは、eバイクやeスクーターであり、運転手のみの一人用の小型ソリューションですが、今後この傾向が変わる可能性があります。現在すでに、数人の人を乗せたり、運転手が追加の荷物を運搬できるような、より広範なソリューションが見受けられるようになってきています。また、マイクロモビリティ製品にも自律走行という選択肢が増えつつあります。

電動カーゴバイク

電動カーゴバイクは、乗り手の前方または後方に車体フレームが延長しており、追加シートや収納ケースを取り付けた自転車または三輪車で、近年急速に普及している新しいタイプの自転車です。(画像1) 英国自転車協会によると、カーゴバイクの販売台数は2021年5月から2022年5月の間に37%増加しました。[1]

画像1:典型的な前積み式eカーゴバイク(画像提供:David Fuentes/stock.adobe.com)

19世紀末頃に商用として開発されたカーゴバイクは、決して新しいものではなかったのですが、駆動列の電動化によって再び脚光を浴びています。

従来、カーゴバイクの普及を阻む大きな障壁は重量の増加でしたが、電動自転車の駆動列が普及したことで、その障壁は解消されました。電動化によって市場のラインナップは急速に増え、多くのeカーゴ専門メーカーだけでなく、従来の自転車メーカーもeカーゴモデルを生産するようになりました。

その結果、商用と私用の両方でカーゴバイクの人気が高まっています。私用では、自動車や公共交通機関の代わりとして使用することができ、利用者はわずかな距離間で荷物を運ぶことができ、人も乗せることができます。

商用の場合、「ラストワンマイル」の配送に使われることが多いです。現在、地元の小規模企業からAmazon[2]のような流通大手まで、さまざまな企業がeカーゴバイクを利用し、整備が遅れている道路網の人口密集エリアでの配送効率を高め、配送時の排気ガス削減を実現しています。

マイクロカー

eカーゴバイクは、従来の製品や大勢の人を乗せるなど運送手段に取って代わる唯一のソリューションではありません。軽電気自動車(LEV)は、特に都市部において、将来的に需要が高まる可能性のある交通手段のひとつとなっています。

軽自動車(低動力の小型車)は、内燃エンジンを動力源とする駆動列ですが、日本では驚異的な人気を誇っています。Renaultのトゥイージーなど、同様の電気マイクロカーも成功を収めています。

厳密には四輪自動車に分類されるRenaultのトゥイージーやCitroënの新型アミのようなLEV(排出量の少ない自動車)は、より小型軽量で、運転に必要なエネルギーや生産に必要な原材料の消費を少なくし、都市効率を高めることを目指しています。Citroënはまた、商用車としてアミのカーゴバージョンを採用し、「ラストワンマイル」配送に焦点を当てています。(画像2)。

 

画像2: Citroenの「アミ・カーゴ」は助手席を省き、収納スペースを拡大(画像提供:Stellantis)

アミのカーゴモデルは、元々のアミのほとんどの装備を取り除き、必要最低限の機能となっており、座席を1つだけ備え、大型の配送バンに代わる軽快でエネルギー消費効率の良いモデルとなっています。

 

高度なアシスト機能と自律走行

 

新たな技術革新によってマイクロモビリティ・ソリューションがどのように進化するかを正確に予測するのは難しいかもしれませんが、自動車産業などの市場を見れば、ある程度のヒントを得ることができると思います。

自動運転車

パワートレインの電動化にとどまらず、自動車産業は自動車のインテリジェンスという点でも大きな転換期を迎えています。高度なアシスト機能と完全な自律走行の両方が推進されています。

自転車が自律走行することはないかもしれませんが、宅配サービスや小型タクシーのような商用LEVへのアプリケーションでは自律走行する可能性は十分にあり、初期の事例が現れつつあります(画像3)。

 

画像3: 自律型運搬ロボットが「ラストワンマイル」を配達しています。(画像提供: Julia/stock.adobe.com)

例えば、自律型運搬ロボットのプラットフォーム「Starship」は、これまでに500万件以上の配送を完了しています。[3] 時速4マイルで移動するStarshipの小型ロボットは、 GNSSトラッキング と搭載された12台の カメラモジュール を使い、都市環境で移動し、特定の位置に到着するとロックされたボックスが開くように設計されています。

低速の電動パワートレインと高度な人口知能のおかげで、Starshipのロボットは(現在の多くの配送ソリューションとは異なる)都市環境内の広範囲にわたる歩道網を利用することができ、より最短なルートを取ることで移動速度の遅さを相殺するのに役立っています。

マイクロモビリティの向上

テクノロジーはまた、性能と安全性を向上させることで、eバイク、eスクーター、電動ホバーボード、電動スケートボードといった既存のソリューションを強化するのにも役立ちます。

eバイクやeカーゴバイクは従来の代替製品よりも重量があり、特に悪条件下ではよりインテリジェントなブレーキシステムが必要であることは認識されているため、Boschは2018年に、自転車用アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)を発表しました。[4]

マウンテンバイク用から市街地配送用まで、さまざまな条件に対応するように設計されており、前輪のロックを防ぐために、車輪の 速度センサ と自動車やモーターバイクのABSから派生したブレーキモジュレーション技術を組み合わせて使用されています。Boschの予測によると、すべてのeバイクにABSが搭載されれば、年間最大29%の事故を防ぐことができると述べています。[5]

 

まとめ

 

マイクロモビリティは、エネルギー使用を最適化し、所要時間を短縮することで、既存の商業輸送や個人輸送のソリューションを再構築することができます。公共と流通の双方の業界がすでにその利点に注目しており、現在のソリューションは近年かなりの成長を遂げています。

しかしながら、マイクロモビリティの拡大を妨げる可能性のある問題は、過去にも今後も存在し続けると考えられています。しかし、安全性とパフォーマンスを向上させ、新たな規制や技術革新のアプリケーションを通じて、新たな実装を生み出すことができ、市場は進化を続け、繁栄し続けることができます。

私たちはすでに、高性能電子部品が自律型宅配ロボットやeバイクの安全システム強化に役立っていることを目の当たりにしています。AIを含む高度な技術革新によって、確実にマイクロモビリティ市場のニッチはさらに拡大し、この傾向はさらに続くと考えられます。

 

出典

 

[1]

 Laura Laker, “UK Bike Sales Take Pause, Cargo Movement Powers On,” Cycling Industry News, August 24, 2022, https://cyclingindustry.news/uk-bike-sales-cargo-bike-growth/.


[2] “Amazon Expands Electric Cargo Bike Deliveries in Manchester and London,” About Amazon UK, November 24, 2022, https://www.aboutamazon.co.uk/news/sustainability/amazon-expands-electric-cargo-bike-deliveries-in-manchester-and-london.
[3] Starship Technologies, accessed January 12, 2024, https://www.starship.xyz/.
[4] “Market Launch of Bosch eBike ABS,” Bosch Media Service, July 7, 2018, https://www.bosch-presse.de/pressportal/de/en/market-launch-of-bosch-ebike-abs-164160.html.
[5] Bosch eBike ABS: Safe Braking for eBikes, accessed January 12, 2024, https://www.bosch-ebike.com/en/products/abs.