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鉄道用電子部品のコスト節約は「節約」にあらず?

 

鉄道輸送用の電子部品は、温度変化、電磁干渉はもちろん、振動など多くの過酷な条件に耐えなければならず、何年もの、あるいは何十年もの耐用期間が求められます。

電子部品の場合、機械的な摩損はそれほど大きな問題ではありませんが、鉄道環境では電気接続、プリント基板、電線の劣化が避けられません。長い耐用期間を保証するには、長期にわたる広範な試験が必要です。特に鉄道関連製品のサプライヤーは二次サプライヤーの部品も点検しなければならないため、多額の費用をかけてこうした予防策を講じることになります。包括的な鉄道関連規制は、EN 50155に記載されています。さらに、AREMA規格(American Railway Engineering and Maintenance-of-way)も使用されています。

この規格では電圧コンバータ(クラスL4)の耐用期間を20年とし、1年を350~360日、1日当たりの稼働時間を16~24時間と定めています。さらに故障や部品交換のたびにシステムコストは膨らみます。電解コンデンサなどの部品は、誘導体が乾燥し徐々に劣化しますが、半導体の特性も変化します。たとえば、オプトカプラの電流伝達率(CTR)や絶縁体の性質も変化します。

もう1つの関連規格として、IEC 61373があります。この規格は、鉄道運行環境の性質上、振動や衝撃を受ける鉄道車両用装置の試験項目の要件を定めています。

特定の防火基準も満たさなければなりません。これについては、EN 45545鉄道アプリケーションで3つのパートに分けて記載されています。EN 45545-1には、基本定義と鉄道車両の全般的な分類規則、 EN 45545-2には、各危険レベル(HL1、HL2、HL3)の資材要件、 そしてEN 45545-3には、防火壁の耐火要件がそれぞれ記載されています。

 

電源のチェックリスト

 

鉄道アプリケーションでは、運行のため、そして乗客の利便性のため、あらゆる状況下で安定した信頼性の高い電源が求められます。電源については、たとえば次のような要素を考慮する必要があります。

  1. 入力電圧範囲:電源電圧は多様で、変動することもあります。一般的な電池でも、24V、28V、36V、48V、72V、96V、110Vといった多様な電圧があり、変動に対し高い耐性が必要です。たとえば、Bel Power Solutions の RFT高性能絶縁DC/DCコンバータ は、12:1の入力電圧範囲(14V~160V)を備えています。

図1:RFTシリーズは、10W、20W、30Wのシングル出力電圧オプションを提供し、EN 50155およびAREMAの業界基準を満たしています

  1. 動作温度範囲: 電子機器は、熱、霜、湿気にさらされ、一日の間や季節によって温度は大きく変化します。

  2. 耐振動性: 一般に操車時の加速度は5Gに達します。さらにより深刻な問題は、走行中、常に振動ストレスがかかるため、機械的疲労が生じ、モジュールの故障につながることです。EN 61373はこうした故障を防止するため、鉄道に使用する電源の最小振動・衝撃強度を規定しています。 RQB-50Y 50W 絶縁DC/DCコンバータは、これらの要件を満たすように設計されており、業界標準の1/4ブリックパッケージとピン配列を採用しています。

  3. EMC性能: 鉄道用電子部品は、極めて厳しい電磁環境でも正常に動作しなければなりません。電気モーターや変圧器から生じる強い磁場にさらされ、 さらにパンタグラフからの干渉にも耐えなければなりません。そのうえ、乗客が持ち込む携帯電話やノートパソコンも干渉源となります。こうした干渉源が、ドライブアセンブリ、モーター制御ユニット、ディスプレイなど、影響を受けやすい部品の機能を妨害するようなことがあってはなりません。これを保証するため、EN 50155では、付加規格のEN 50121-3-2「鉄道アプリケーション – 電磁両立性 – 鉄道車両 – 装置」が繰り返し言及されています。この付加規格には、放射性妨害波と伝導性妨害波の明確な限度、および過電圧と過渡への耐性に関する厳格な要件が定義されているためです。これらのEMC要件を満たすためには、EMCフィルタでDC/DCコンバータを保護し、伝導性放射を吸収する必要があります。

  4. 絶縁: 人員、乗客、車両、そして環境を保護するためには、強化絶縁層または二重絶縁層が必要です。Bel Power Solutionsの RDT-6Yシリーズ 6W DC/DCコンバータは、3kVACのI/O絶縁テスト電圧と220µF~1000µFの容量負荷範囲を備えています。

鉄道車両用の部品認定を追加取得するには、多額のコストがかかります。EMC(EN 50121-3-2)、振動・衝撃(EN 61373)、防火(EN 45545-2)、システム設計の変更などに対して型式承認を取得することは、鉄道関連製品のサプライヤーにとって非常に大きな負担となります。

 

まとめ

 

鉄道技術に求められる長い耐用期間、そして鉄道用途固有の要求は、システム設計者にさまざまな課題を突きつけます。安全で信頼性の高い鉄道システムの実現には、綿密な計画、そして信頼できるメーカーと販売代理店による長期的なサポートが不可欠です。